50.坂下宿〜土山宿へ(街道地図)
三重県鈴鹿郡関町坂下→片山神社→鈴鹿峠→万人灯→国道(8km:3時間)

■ 坂下宿について ■(2000年3月18日)晴れ
今日は待望の鈴鹿越えだ。 昨日、護身用の棒切れを坂下でバスを待つ間、散々探したが見つからなかった。 そこで酔っ払ったまま恐い峠を越えてしまおうと言う作戦に切替え、 滅多に飲まない缶ビールを用意した。 しかし2本の足は亀山駅前9:00発、伊勢坂下行きのバス停に30分も前から ゲートインし足踏みしている。(2017.11現在、伊勢坂下行バスは関駅前に路線変更) ・・・・ 東海道四十八番目の宿場・坂下宿は難所の鈴鹿峠の麓に位置する。 初めは片山神社の参道辺りにあったが土石流で宿場が壊滅したため 現在の場所に移った。当時は大きな旅篭が軒を並べ本陣の数も多く街道一 の賑わいを見せていた。 近年、国道・バイパスが開通したのに伴って、 宿場は衰退し昔日の面影はありません。

■ 宿場入口・本陣跡の石碑 ■約100m
・・・伊勢坂下行きのバスに登山姿の3人組みの男達が乗っている。 もしかしたら鈴鹿峠を越えるのかも知れない。 少し期待する。終点の坂下で降りた。非〜常に期待した。・・・ 坂下宿の入口は地味だった。 荒涼とした広い街道だ。昨日お世話になったバス停側に松屋本陣跡、 続いて大竹屋本陣跡(写真右)梅屋本陣跡が畑の中にある。 鈴鹿馬子唄に「坂の下では大竹小竹、宿がとりたや小竹屋に」 と謡われた小竹屋脇本陣跡は斜め右にある。

■ 法安寺・岩屋十一面観音菩薩 ■約5〜600m
坂下宿は大都市の宿場と違った形で宿場の面影が跡形も無くなった。 近代交通の発達により宿場は寂れ街道に田畑が戻り江戸より前の村に戻っている。 唯一、松屋本陣の門が法安寺(写真中)に残されていた。 中橋を越え不明の石像を観ながら行くと 国道と合流する場所に「岩屋観音」(写真右)の石碑がある。 (裏の小滝が流れる岩窟に観音像。延命地蔵が安置され、清滝観音とも言れている) ・・・3人組はこの横に有る山道を上って行ってしまった・・・

■ 国道・片山神社入口 ■約1km
期待は儚く消えた。しかし国道を歩いているうちに、 明るい太陽も味方して早く鈴鹿に会いたくなってきた。 9:45片山神社参道入口に座り込んでいる男を発見!。 こっちを向いているから鈴鹿を越えてきたのかと思ったら、 日本橋から野宿の連泊で、ここまでやって来たと言う、 とんでもない男だった。 通過した街道話しに花が咲き、男は俺のボディガードとなった。 片山神社の参道(写真右)は明るく木洩れ日が射している。

■ 片山神社・石畳・広場 ■約2〜300m
参道の先で視界が開け片山神社の左は想像と違って コンクリート剥き出しの自動車道だった。 天気が良いせいか、季節のせいなのか、鬱蒼とした印象はない。 右の壊れた石畳を(写真中)2〜3回ジグザグに登ると 自動車道の下になる。 上った所が広場(写真右)になっていた。 (片山神社=水害・火事の守り神、境内に「鈴鹿流薙刀術発祥の地碑」と 病気の母を助けて峠で働く息子を称えた孝子万吉の碑がある) 参考:山道だけ携帯は圏外

■ 鈴鹿峠・鏡岩 ■約2〜300m
広場の右道入口に芭蕉句碑 そこから馬の水飲み場(写真左)を見る。 先程より幾らか勾配が緩やかになった山道を登り切ると 雑木林に出る。 鏡石入口に誘われて林の中(写真中)に入ったが迷いそうだ。 鏡岩は絶壁の上に突き出ていて、其処から覗く(写真右)と岩ごと崩れて落ちそうな気配 (鏡岩=硅岩の表面が断層のズレで磨かれ鏡状になった、 その昔鈴鹿峠の山賊が、旅人の通る姿がこの岩に映るのを見て 待ち伏せたという言い伝えから「鬼の姿見」の別名がある。 )

■ 万人講常夜燈〜国道歩き ■約2〜3km
道は平らになり目の前が広い世界になった。 その先に大きな万人講常夜燈(写真左)が見えた。 峠をあっという間に越えてしまったのだ。 ここのベンチで休憩する。 ・・・同行の若い旅人は和歌山の医学生で春休みに東海道を思い立ったようだ。 二人で魚肉ソーセージを食べながら東海道を語った。 京都を目指し行く道は同じ、しかし寝袋に重みがある。 極限で人の温かさや冷たさを味わってきた男の重さがある。 比べて俺のリュックは軽い・・・ ♪旅は道連れ!(MP3) さぁ行きますか〜!

■ 猪鼻・蟹坂 ■約2〜3km
国道をなだらかに下った。 十楽寺を過ぎ高架下を潜り、猪鼻・蟹坂と 快調に歩く。 蟹坂(写真左)から国道と離れ、長閑な道に蟹坂古戦場(写真中)の小さな石碑があった。 道なりに行くと国道に戻る。田村神社 (祭神は坂上田村麻呂で鈴鹿峠の鬼退治伝説がある、厄除けの神) の鳥居前の歩道橋から道の駅に行く。
・・・お昼、俗世間から離脱した二人の旅人は焼き肉定食を勢い良く食べていた・・ (行程3時間・2000.3/18(土):万歩計=計測中)

旅人:浮浪雲
49.関宿〜坂下宿 51.土山宿〜水口宿